(韓国・ハンギョレ新聞 2006年9月11日 付け)
「日本共産党委員長訪韓と交流の多様化」
・ 志位和夫日本共産党委員長が、訪韓日程5泊6日を終えて一昨日帰国した。日本共産党の所属議員が国際会議参席の為訪韓したことはあるが、共産党代表が南の土地を踏んだことは初めてだ。両国の情勢と政治風土の間にどんな特殊な事情があったに言え、冷戦対立体制が崩壊しても、しばらく后に実現された共産党委員長の訪韓はとんでもない感じさえ与える。
50代前半の志位委員長が韓国に来た名目上の目的は、第4回アジア政党国際会議の参席だ。彼が所属委員を送らずに直接来たのは、韓国政治指導者たちとの会合を通じて関係を改善し、自身の政治的位相を高めようとする意図が作用したのだ。彼は今回の訪問に、イムチェジュン国会議長をはじめ、キムクンテ開かれたウリ党議長、キムヒョンオハンナラ党院内代表など主要政党の指導者たちをあまねく訪ねる忙しい日程を過ごしたが、国内言論ではあまり注目を受けなかった。共産党議長が、衆参議員各々9席に過ぎず群小政党の代表という認識もあったが、共産党に対する我々の社会の根深い不信と警戒心も作用したはずだ。
志位委員長は訪韓初めの日程でソウル西大門刑務所跡を訪ね、共産党が1922年創党以来絶えず朝鮮人の独立闘争を支援してきて、軍国主義時代の間違いを改めるのに先頭にたって来た点を宣伝した。日本共産党は北韓と長期間友好関係を維持してきたが、主体思想論争、アウンサンテロ事件などの余波で80年代半ば、労働党との関係を断絶した。南韓に対しては、ベルリンの障壁崩壊と民主化定着を契機として接近路線を講じてきた。
日本の中の右傾化の動きと関連しても、共産党の動向を注視する必要がある。次期総理に確実視される安倍晋三内閣が発足すれば、平和憲法の改定作業に力を入れることが予想される。昔の社会党が没落した後、改憲推進に反対する院内政党としては共産党が最も議席を持っている。日本中央政治で共産党の役割は限定されているが、地方では市民団体・労働運動勢力と連帯して護憲運動の核心を成している。
韓日2つの国が相互不信を根源的に解消しようとすれば、多様な集団が政治的見解の差異を離れて、機会に接するままにお互いに会って心を開いて対話を持続することが重要である。日本共産党を対話の対象から見逃す理由はない。(訳 柴野貞夫)
解説(柴野貞夫)
この記事は2つの点で興味深い。1つは韓国は今まで、「国家保安法」「反共法」によって、韓国人が外国の”共産主義者”やその組織と接触する事を禁じてきた。しかし”民主化”以降その全面的廃棄には至っていないが、部分的法改正によりそれを認める事となった。今回、第4回アジア政党国際会議に初めて日本の共産主義政党の代表者が訪韓し、広く韓国のマスコミ(新聞・テレビ)に取り上げられ何度か記者会見も行った事である。2つ目は、志位和夫委員長は韓国国会の議席を持つ全ての政党(5党)の代表者と公式に会談を持ち、意見を交換したと伝われている。与党の開かれたウリ党、保守野党のハンナラ党や民主党、そして唯一の労働者の左翼政党である民主労働党などである。民主労働党の文代表は「共産党の名を出すだけで弾圧された時期からあまり経っていないのに、長い伝統を持つ日本共産党とお会い出来て嬉しい」と挨拶したと日本共産党の機関紙は伝えている。ハンギョレ紙がこの社説において、何故この日本の少数政党に過ぎない日本共産党に対して韓国の各党が会談に応じたか、マスコミも取り上げているかの理由がうかがえる。
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